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株式日記と経済展望 中国による現行の「土地担保」の通貨供給は、邪道も邪道の最悪ケースである。 [政治]

株式日記と経済展望 中国による現行の「土地担保」の通貨供給は、邪道も邪道の最悪ケースである。
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/e/e1b4b313dd8fc202bba1c358da15ea06 より

中国による現行の「土地担保」の通貨供給は、邪道も邪道の最悪ケースである。インフレをビルトインした破滅型の発券システムである。

中国、「粉飾経済」レバレッジで延命も限界「破裂の時期は?」  8月30日 勝又壽良
IMFが中国の恥部を暴く
6.8兆ドル隠れ不良債権

30年以上も続く私の勉強仲間が開く、年1回のワインパーティへ参加した。テーマは、定番の中国経済である。いろんな見方が披露されたが、私への質問では、「中国のバブルはいつ潰れるのか」であった。市場経済であれば、とっくの昔に崩壊して当たり前だが、そこは専制主義国家のことだ。政治が強引に介入しており、バブルが崩壊しないように政治権力で先送りさせている。それ故、問題はさらに深刻化している。中国政府は、将来の問題よりも現在の政治的な安泰を求めて、今日も借金によるインフラ投資に余念がないのだ。

イソップ物語の「アリとキリギリス」という寓話を思い出す。

夏の間、アリたちは冬の食料を蓄えるために働き続け、キリギリスはバイオリンを弾き、歌を歌って過ごす。やがて冬が来て、キリギリスは食べ物を探すが見つからず、最後にアリたちに乞い、食べ物を分けてもらおうとするが、アリは「夏には歌っていたのだから、冬には踊ったらどうだい?」と食べ物を分けることを拒否し、キリギリスは飢え死んでしまうという筋である。子どもの頃に聞かされてきたものだ。

この寓話には、次のような教訓があると指摘されている。キリギリスのように将来の危機への備えを怠ると、その将来が訪れた時に非常に困ることになるので、アリのように将来の危機の事を常に考え、行動し、準備をしておくのが良いというものだ。この教訓は、現在の中国に当てはまるように思う。「中華帝国の夢」を追って、世界の覇権を握りたいというとてつもない野望は、キリギリスの二の舞になる危険性を抱えるからだ。

前記の「ワインパーティ」での意見では、別に次のようなものもあった。事実上、中国政府が土地を担保にして紙幣を発行しているのは正しいとするものだ。中国は広大な土地を擁しており、土地は確実な担保になる、というものだった。中国の地方政府の歳入では、土地売却益が半分近く含まれている。これが、土地担保の通貨発行という認識を生んでいる。この議論は、私が一貫して否定している内容だ。

英国が、イングランド銀行を中央銀行(1844年)にするとき、発券機能をどうするかが最大の問題であった。土地銀行案も検討されたが、地価上昇が自動的に通貨の増発になってインフレを引き起こすとして拒否された。代わって登場したのが「商業手形の割引」による通貨発行だ。これが、後の各国中央銀行のモデルになった。

中国による現行の「土地担保」の通貨供給は、邪道も邪道の最悪ケースである。インフレをビルトインした破滅型の発券システムである。このような俗説が、中国側から漏れているとすれば、中国が本質的に「バブル型経済」と言える。その結末が、現在の中国を瀬戸際まで追い込んでいるのだ。キリギリス同様に、値上がりする地価高騰に酔ってきたが、夏は永遠に続かない。間もなく秋が来て冬になる。中国にその備えはない。

(中略)

(4)「米紙『ニューヨークタイムズ』は、世界各国の経済学者や投資家は中国の債務規模よりも、債務増加ペースの速さを最も危惧すると報じた。英市場調査会社、キャピタル・エコノミクスが今年6月に公表したリサーチでは、記録開始以降、中国債務の『増加ペースは、他の主要経済体のどの国よりも速い』とし、蓄積された債務規模は『新興アジア市場にとって最大のリスクになっている』との認識を示した」

中国の債務増加ペースが、他国よりも急ピッチであることは、それだけ中国経済の抱える矛盾が大きいことを証明している。中国は、典型的な「普遍的な帝国主義」である。対外的な領土拡大に力を入れている結果、内政面が置き去りにされている。農村の疲弊がそれを証明している。これが、中国社会の空洞化を産み出した。未だにGDPに占める個人消費比率は、39%(16年)という驚くべき低水準に止まっている。

この低い個人消費をカバーすべく、債務に依存するインフラ投資を強行している。中国全土に張り巡らした高速鉄道と高速道路。これも限界に突き当たっており、今度は都市の地下鉄建設を始めている。「今後5年(2016~20年)、中国の地下鉄・都市鉄道の建設は最高潮を迎え営業距離は3000キロになる」(『人民網』8月18日付)と宣言しているほどだ。

いくら借金してインフラ投資を行なっても、リターンが上がらなければ無駄な投資になる。いずれ、リターンを生まないインフラ投資が、中国経済を食いつぶす時期が来る。なんと、先の読めないばかばかしいことを続けているのか。腹の底から笑いたい衝動に駆られるのだ。そんな「土建国家」を目指すよりも、福祉を充実させて高齢者に安心して生活して貰う。そういう環境づくりが優先されるべきだ。「GDP亡者」に救いはない。

(中略)

2016年の中国GDPは、11兆2000億ドルである。このうち、1.75%が過剰債務によって無理に押し上げられたとすれば、16年だけで1960億ドルが過剰債務によって産み出したGDPとなる。IMFは、「16年、GDP5兆元を増やすには20兆元の債務を必要とした」と指摘している。この推計を用いれば、16年だけで1960億ドルの4倍に当たる7840億ドルの過剰債務になる計算だ。

こういう無理を毎年、ずっと続けてきたことになるから、最大限で7.6兆ドルの不良債権を抱えているとの指摘は、一概に「オーバーな推計」とは言えまい。かなりの核心を突いている。前記のIMFの指摘で、GDP5兆元を産み出すのに20兆元の債務を必要とした事実は、差し引き15兆元の債務が自動的に返済不能に陥るはずだ。中国経済は、すでに「過剰債務製造機」に成り下がっている。この現実を見落としてはならない。

(7)「チュー氏も、重大な危機が差し迫っているようには見えないと認める。中国政府は借り手と貸し手に影響力を及ぼせるため、市場主導型システムの場合よりも問題を長く先送りすることが可能だ。だがチュー氏は、損失を認めずにいられることで、市場が行動を促す経済の場合よりも問題が長引いて大きくなっていると言う」

中国は、「社会主義市場経済」である。政府が経済に介入可能なシステムだ。このことから言えば、「中国政府は借り手と貸し手に影響力を及ぼせるため、市場主導型システムの場合よりも問題を長く先送りすることが可能」である。だが、債務が途中で消える訳ではない。中国経済の脆弱性は一段と深刻化しながら進むはずである。マルクス経済学用語を拝借すれば、「矛盾は一段と深化してゆく」こととなろう。先の見えない中で、「見栄とメンツ」で偽りの経済成長を続けざるを得ない。そういう習近平氏の心労は、如何ばかりだろか。心から同情申し上げるのだ。

(私のコメント)
「株式日記」ではバブルの崩壊は先送りできると何度か書いてきました。しかし何時まで先送りできるかはわからない。中国もバブル崩壊は2008年ころ起きかけましたがその都度先送りされた。株式市場も不動産市場も崩れてはまた盛り返していることの繰り返しが起きている。

日本でも何度か株式の大暴落が起きても、高度成長期だったので盛り返してきた。しかし土地については値上がりが続いてきた。それが土地神話の元になりましたが、銀行も土地の担保があればいくらでも融資を受けることができた。だから土地は打出の小槌であり、企業なども不必要に土地を持ち続けて手放そうとはしなかった。

いわば日本でも土地本位制のようなことが起きて、「土地=通貨」といったような現象が続いた。だから土地の値上がりが続けば通貨も銀行からの融資で発行されたようなことが起きた。政府日銀はこれではインフレになると危機感を持ってバブルを潰しにかかった。しかしバブルを潰した結果はどうなったかを見れば25年に及ぶデフレ経済に陥ってしまった。

「土地=通貨」なのだから、土地が値下がりを続ける限りはデフレが続くのだ。最近ではようやく都心部では商業地やマンション用地が値上がりしましたが、日本全国的には過疎化が続いて土地の価格はまだ下がり続けている。郊外住宅なども空家が増え続けているが、売り手ばかりで買い手がいない。これではデフレが収まりようがない。

中国でも「土地=通貨」の現象が起きており、不動産価格は一時的に下がっても政府のテコ入れでまた盛り返すことが続いている。株式にいたっては売却禁止令などで機能が麻痺している。独裁国家だからこのようなことは可能ですが、独裁国家でもどこかで破綻が生じてくるはずだ。

中国のマンション価格は年収の70倍といった常識はずれの価格になっており、いったい誰がそんな価格のマンションを買っているのだろうか。日本のバブル期でも返済を考えれば年収の5、6倍が限度であり、70倍では転売を念頭にしなければ考えられない。貸した銀行も焦げ付けばそれだけ不良債権が増える。

中国では投資先がなくてマンションしか投資のしようがなくて、実需とはかけ離れて売買がされている。中国政府は不動産ぼ値下がりさせまいと資金をながし続けているが、バブルが小さければ先送りは簡単だが、不良債権が先送りするたびに膨れ上がってくる。

もはや庶民には手の届かない高値でマンションが売買されていますが、実態はどうなっているのだろうか。値上がりし続ける限りでは買い手はいるのだろう。株式でも常識はずれの高値になることがありますが、極限に来れば暴落してストップ安が毎日続くことになります。日本の商業地でも同じようなことが起きた。

中国は独裁国家だから、不良債権の処理も公的な機関が買い取ってうやむやに処理してきた。しかしそれが国家予算の何倍もの不良債権額となれば、公的機関も買い取れなくなり人民元が紙切れになる。中国政府の発表ではGDPは6%成長が続いているという事ですが誰も信じてはいない。

中国政府は今でも高速道路や高速鉄道を作り続けてインフラ整備をしている。しかし作ったものには維持費がかかり、高速鉄道は空っぽの空気を運び続けている。人件費は掛かり借金の返済や電気代や保線費用も毎月のようにかかるから赤字は膨らみ続けている。マンションも空室だらけなのに維持費や管理費がかかり続けるから赤字も膨らみ続けている。

中国経済は、資本主義の常識の範囲外であり、独裁国家だからどんなことでもできるが、膨大な不良債権や赤字はどのように処理するのだろうか。海外から借入れた資金は独断ではチャラにはできない。中国からの資金持ち出しも制限されて海外投資もままならなくなってきた。外貨準備高に不安が生じているからでしょうが、GDPも外貨準備高も全てがデタラメだ。
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